京都痕跡街歩き

街角にひそむ歴史の痕跡を探して

【京都入門】地域カースト①

京都観光京都への移住を考えている場合、

 

地域カースト(ランク付け・格付け)

 

を頭に入れておくと結構役にたつ。

 

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ある雑誌によれば、

 

京都には

 

以下のような地域カーストがあるという。

 

 

S:中京区・上京区(御所周辺)

A+:中京区・上京区(御所周辺以外)

   下京区東山区

A:左京区・北区

B:右京区

C:伏見区

Ð:南区 

E:山科区

 

 

よそ者として京都に住んで15年以上たつが

 

肌感覚としても凡そ合っていると思う。

 

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※平成30年の地価公示。住宅地の地価上昇率は概ね上記カーストと同じ傾向を示している。

 

各区の特徴を独断と偏見で紹介してみます。

 

■中京区・上京区(御所周辺)

・御所に近いから上流意識が高いが、高級住宅街という訳ではない。

・範囲は二条通り(烏丸御池駅)より北、鞍馬口通りよりも南の地域。

・商業地の田の字地区に近くしかも住環境・教育環境にも優れた御所南は、近年人気が高いが、

   (※「御所南小→御池中→堀川高→東大・京大」が京都民羨望のゴールデンルート)

 歴史的には御所北の方が古く、元祖京都人の意識は御所北の方が強いと思う。

 千家、冷泉家もあるしね。

御所北同志社相国寺(金閣寺銀閣寺の親玉でドンが有馬記念)が君臨しており、良くも悪くも大きく変化していない地域。地価がそこそこ高いので子育て世代の流入が少なく、老齢化が進みつつあり、空き家も散見される(スポンジ現象)。

 ただし、今出川駅から鞍馬口駅までのエリアでは、学生からの上納金で同志社大学が土地を買いあさっている印象があり、いずれ同志社大学の敷地だらけになるのではないか。

御所東の鴨川沿いの低層マンションは西日本最高額で売り出されたことで有名。

 御所東といえば、梨木神社境内にある高級マンションも有名。神社の参道上にマンションが建ってしまい「鳥居付きマンション」というなんとも御利益のありそうな仕様になっている。神様を拝んでいるのやらマンション住民を拝んでいるのやら…ホテルオークラに向って土下座している高山彦九郎もきっと同じ気持ちなのだろう。

www.sankei.com

■中京区・下京区(御所周辺外)

・京都駅の北、二条通りより南。中心は四条と烏丸御池の間の田の字地区

・近世から現代の京都の中心。

田の字地区町衆文化の中心というが、ほとんどが中高層ビル。

京都の台所といわれた錦市場も、外国人観光客に向けの店舗ばかりになってしまい第二の京極通り(チープな修学旅行生向けの店舗が多い)になり果ててしまった。京都人は、お金になると案外、頑固ではなく変わり身が早いようだ。

頑固のようで経済合理的な京都人パンの消費量日本一なのだ。米喰えよ・・・

・町屋はどんどんホテル・マンションに置き換わっている。マンション・オフィスビル経営で月額数百万円以上の不労所得を「よそさん」から得ながら郊外に住んでいる「(腐っても)京都人」も少なくない。不労所得に目もくれず京町屋を維持し続けている地元民は、本当の意味での京都人(愛すべき変人)だが、もはや絶滅危惧種

吉田家住宅、京都市に遺贈へ 祇園祭山鉾町内の町家保存で : 京都新聞

・住民のほとんどがマンション住まいのよそ者。他府県からの「週末京都民」「なんちゃって京都民」も多い。

・おなじ中京区・下京区といっても地域差は大きい。四条から南に下がるほどグレードが下がる。また鴨川寄りは歓楽街が多いのでグレードは下がる。一部には、楽園という名の悪所(旧赤線地区)などもあったが、会津小鉄に対する取り締まり強化もあり現在では営業していない。今後は東京からの資本流入や民泊施設の増加、大学移転などで格差は縮小していくだろう。

※京都人:一般に「三世代」京都に住んでいる家の出身者。ただし、どこからどこまでを京都とするかは一大論点。滋賀県VS京都府論争中にこの問題をとりあげると京都民同士で内ゲバが発生するので、滋賀民のキラークエスチョン。ちなみに滋賀県VS京都府論争は、滋賀民が「琵琶湖(疎水)の水を止めてやる‼」で会話を切り上げるのがお約束。

 

 

任天堂:世界のNINTENDOの発祥地も「楽園」内にある。もともとは花札製造会社なのだが、「花街・任侠・賭博・花札」と否応なくイメージが繋がってしまう。

東山区

・岡崎エリアと清水・八坂エリアに分かれる。

・岡崎エリアは旧華族・元老が住んでいたことからグレードがかなり高い。

・岡崎エリアのマンションはステータスが高く(上京の鴨川沿いの低層マンション並みに)、キャスター、アーティストなど東京の著名人も多い。京都に住む著名人は、東山でちんまり住むか、嵐山方面でドでかく住むかの2パターンに分かれるみたい。

・そんな岡崎エリアだがなぜかラブホテルが何件か存在する。老舗料亭「瓢亭」の前がラブホというのもよく知られている話。知り合いから聞いた話だが、旧華族や元老の子孫が落ちぶれていくにつれて岡崎エリアも荒れ始めた時期があったそうで、復興策として高級旅館街にする計画が浮上し、京都市も用途規制を緩和したのだとか。しかし、思惑がはずれ高級旅館ではなくラブホテルが建ち始め、慌てて規制緩和をやめた結果、高級住宅街の一部にラブホテルが残ったそうだ(ソース未確認)。

※最近、この辺を歩いたらラブホ群が高級マンションに代っていた。一抹の寂しさが…

 

古都の占領: 生活史からみる京都 1945‐1952

古都の占領: 生活史からみる京都 1945‐1952

 

 ※岡崎ラブホ群は進駐軍の慰安施設が起源とする話も聞く。この本によれば裏はまだ取れていないようだが、岡崎公園進駐軍が駐屯していたから大いにありうる話だ。勝者の欲望のはけ口は、いろんなところに残っていて、進駐軍桓武天皇の遺体すら葬れなかった神聖な上賀茂神社の領域にゴルフ場(現上賀茂GC)を作ったそうだ。違和感のある風景には進駐軍の政策が絡んでいるかもしれない。

 

・清水・八坂エリアは昔ながらの低層住宅が多く、また観光需要があって地価も高いため、若者の流入が少なく老齢化が加速している地域。

いのししが出る地域。

 

 ■北区・左京区(高野川以西)

北山通り、北大路通りを中心とした地域。

・京都版・青山通りを作ろうとしてバブル崩壊で失敗した。これが北山通り。通り沿いには、自己主張が強く使い勝手の悪そうな著名建築家の建物が存在(取り壊しで随分と少なくなったが)。無意味なストラクチャー付き建物は時代を感じさせ、今となっては失笑を禁じ得ない代物。

・おしゃれな通りにするはずだったのに、カープスやラーメン屋も見られる。

東洋亭マールブランシュでもっている。少しずつ衰退しているイメージ。

・通りの背後には高級住宅街の北山・下鴨エリアがある。旧下鴨中通りは「社長通り」とよばれ、京都が本社の上場企業社長が多く住んでいることで知られる。そのパワフルな門構えから成金的イメージが付きまとう。

下鴨神社境内に作られた高級マンションは話題を呼んだ。

 デルタ付近も社長宅が多いのだが、雨の頃は結構ジメジメする地域である。

 

左京区(高野川以東)、右京区

・庶民の町。上品さはないが、商店街も部分的に残っており活気がある。

 物価も安くお財布にやさしい地域。

・左京は、京大が君臨している。学生の街。

 貧乏学生向けにラーメン文化(天下一品をはじめとした一乗寺ラーメン店群)が発展。豚骨臭がそこはかとなく。

・右京は、交通の便が悪いため東京等からの資本流入が少なく町屋が結構残っている。

 ただし、地価がそこまで高くないため、安いゲストハウス・民泊などが増殖中。

 住・工・商が混然一体とした昭和の面影の残る街で千本日活などは未来に残したい文化遺産西陣などの織物業の衰退で住宅の割合が高まっている。

・昔は織物業が盛んで、上七軒で遊ぶ羽振りのいい旦那衆もいたのだろうが、今は昔。

※もっとも嵯峨野・嵐山、大原まで含まれる右京・左京を一概に評するのは難しい

 

■南区

・京都駅が羅生門的な役割を果たしており、京都中心地から隔絶された地区。

・工業地的な要素もふくまれる地域。

・地価がそこま高くないため、安いゲストハウス・民泊が増殖中。

 

伏見区

・伏見は水運の要衝でかつては日本の首都だった。住民にはそのプライドがある。

 ※「伏見港」は、数少ない河川港の1つ

・ほかの区とは一線を画す。

・いなりこんこん。

・「フジヤマ・ゲイシャ・センボントリイ」キョロキョロ。

 

山科区

・京都中心部からは山で隔てられており、

 京都盆地からみると滋賀とそう変わらない。

 「≒滋賀」以上。

 

※山科盆地の中を京都府滋賀県の境界線が走っている。

 

まとめると・・・

 

S:中京区・上京区(御所周辺)   →正統派・上流京都人の地域

A+:中京区・上京区(御所周辺以外) →伝統的・町衆の地域

   下京区東山区

A:左京区(高野川以西)・北区                →成金的・京都人の地域             

B:左京区(高野川以東)・右京区         →庶民・学生の地域

C:伏見区                                                                    →別王国              

Ð:南区                  →京都なのに京都っぽくない

E:山科区                 →「滋賀」でよくね?

 

 

ということになるが、

 

これには歴史的背景がある。

 

次回は地域カーストの歴史的成り立ちを見ていきたい。

 

日本の特別地域 特別編集80 これでいいのか京都府 (地域批評シリーズ)

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 ※地域カーストが低いところほど地価が低く町に多様性があり楽しいのだが、近年京都では、国内、国外からの資金流入で一様に地価が高騰しており、地域の多様性が失われてきているのを感じる。利益の出るマンション、ホテル、民泊だらけの生活感のないテーマパークのようなつまらない街になりつつある。